2003/06/27 
ひょうご地域福祉ゼミナールに参加して

 平成15年6月26、午後2時より第3回ひょうご地域福祉ゼミナールが開催された。今回のテーマは「文化としての里山ー豊かな人間性を育てる」と題して、京都大学名誉教授の河合雅雄先生のご講演を受講させていただいた。

 講演内容は、里山の定義や実態をはじめ、21世紀にふさわしい新しい利用策、また、ヨーロッパと日本の価値観等の違いやヨーロッパの自然保護に至る歴史、更に、兵庫県内の森構想の展開などについてであった。

 先ず、里山の定義について、多くの定義があるが河合先生自らは、「生活生態系資源と定義し、田畑と同じ役割であり、農業に役立てる、山の幸、動物の生息地、防水等に役立つとされる」と説明し、その実態について植林等により針葉樹が成育し、動物も生息地を奪われ山里に出て行き、鹿やさる等の動物による農作物への被害が深刻になっていることを述べられ、兵庫県ではこれらの野生動物の保護管理について自治体独自で先進的に取り組んでいるとの話もあった。

 里山については、生産資源や環境資源のほかに‘森と文化資源として活用する‘という21世紀の新しい利用方法を生み出そうとしているとの説明に続き、 森についてのヨーロッパと日本の違いとして、ヨーロッパでは、森遊びが好きで、特にドイツでは、月曜日のあいさつで「どこの森に行ってきた?」との会話があたりまえのようになされ、ただ歩いているだけであるが、大自然と融合対話をしているという。一方、日本では、公園というと滑り台やブランコ、砂場があることが当然であり、篠山の森公園への来訪者から「ここには何もないね、ここは何するところ?」という声があった。また日本人は、‘歩こうブーム‘からウォーキングシャツやシューズなど、すぐに産業化してしまう。等々価値観の違いを示唆されていた。

 ヨーロッパが森=自然を大切にするように至った背景には、幾世紀にも及ぶ歴史の中で、牧草地や農地の拡大、ゲルマンの移動による森林の伐採、また11世紀にはキリスト教徒の開墾等による森林破壊などの結果としてイギリスにおいては、もはや森林が11%しか残らないようになってしまった。(年間雨量も少なく低温の地域であるため一度伐採したら復元するのに大分時間がかかるという)そして、ついに18世紀には洪水・災害等に見舞われ、自然の大切さを知り自然保護ということを考えるようになった。
 
 日本は温帯であり、四季があり、有数の美しい自然がある。68%の森林が残っており、今後は、自然と対立するのではなく、新しい21世紀の自然観をつくっていくことが望まれる。との内容の講演だった。

 1時間ほどの講演であったが大変に短く感じられた。里山の今後の利用方法について、これまでの生産資源や環境資源のみならずこの貴重な資源を子どもたちの自然教育の場としても活用し、豊かな心、感性が育まれるよう積極的に推進してきたいと改めて思った。