2011/05/13  
東日本大震災被災地調査報告



このたび、平成23年5月1日~2日にかけて、宮城県庁内の関西広域連合・兵庫県 現地支援本部及び石巻市役所内の石巻支援本部へ兵庫県議会公明党・県民会議議 員団とともに視察に行かせていただいた。

(参加者) 幹事長 松田いっせい副幹事長 北條やすつぐ 政務調査会長 岸本かずなお 政 務調査副会長 篠木和良 橘泰三下地光次 谷井いさお 芦田賀津美 伊藤勝正

(調査目的) 被災地の現況を直に確認した上で、関西広域連合・兵庫県現地支援本部の取り組 み状況を聴取するとともに、今後の被災地の復旧・復興に向けた諸課題や幅広い 支援策等を検討し、安全で安心なまちづくり構築に向けた方策を探求していくた めに被災地調査を行う。

(調査施設等) 1、 関西広域連合・兵庫県現地支援本部(宮城県庁) 2、 石巻支援本部(石巻市役所内) 3、 名取市、山元町、石巻市等被災状況等

(5月1日視察報告)

◆ 仙台空港到着

1日、午前9時30分ごろ、仙台空港に到着。到着ロビー玄関の壁等には大震災発 生当初の被災した写真などが掲出されていた。一方、被災地を訪れた人々からの 応援メッセージが随所に書き綴られていた。空港には仮設トイレが設置されてい た。航空会社関係者は搭乗者に対しハンドマイクで航空案内を行うなど応急復旧 途中の仙台空港の被災状況も深刻を極めていた。

◆ 名取市仙台空港周辺へ

空港よりジャンボタクシー2台にそれぞれ分かれて乗車し、被災現場を巡回し た。先ず、仙台空港近くの名取市の様子に愕然とした。地震による津波災害で住 宅や道路、各施設や橋、樹木などが無残にも削り落されていた。あたり一面にこ れらの残骸が散乱し、改めて津波の恐ろしさに驚愕した。 海岸線近くを視察し たが、防波堤が崩落し壊滅状態であり、強固なコンクリートや高木などをことご とく倒壊させた津波の被害を目の当たりにしその猛威に身震いする思いであった。

◆  仙台東部道路付近の津波到達地点へ 津波到達地点と言われている仙台東部道路付近まで急行した。車窓には田畑に住 宅や車、船等などの瓦礫が散乱している状況が延々と続いた。タクシーの運転手 さんから「この仙台東部道路あたりで津波が止まったと言われています。この道 路がなければ被害が更に拡大したと言われています。」等の説明があり、辺りで 下車し、周辺を視察した。 田畑は瓦礫の山で埋もれていた。運転手さんより「少し前までは田畑一面に瓦礫 が散乱し、手がつけられる状態ではなかったが、自衛隊等により行方不明者等の 捜査が終了し、捜査の完了したところに青い布等でしるしがつけられ、瓦礫の収 集撤去作業が行われているようです。」との説明があった。 周辺にハウス農園が広がっていたので、その中を覗いてみるとピンク色の鮮やか なカーネーションがたくさん花を開かせていた。3・11の津波に耐え、約一ヶ月 あまりを経過しおそらくつぼみであったカーネーションが被害を受けつつも見事 に花を咲かせている姿を見た時には生存への感動とともに、「母への感謝のしる し」が出荷されずに泥まみれになっている様に改めて無念さもこみあげてきた。

◆ 関西広域連合・兵庫県現地支援本部へ (宮城県庁内)

現地視察後、関西広域連合・兵庫県現地支援本部が設置されている宮城県庁に急 行した。 宮城県災害対策本部事務局の三浦輝男氏より災害の概況、被害状況のほか、福島 原子力発電所事故に関する相談件数や測定結果などをはじめ福祉施設の被災状況 ならびに仮設住宅等への対応等について以下の説明があった。

1、宮城県災害対策本部事務局の説明 (3月30日付の河北新聞より)

  • 津波は松島湾、砂浜海岸全体の(地図上の赤色の部分)沿岸地域 リアス 式海岸をおそった。漁港などすべてが津波で大被害をうけた。
  • 市町村役場等もやられてしまい使えない状態だ。 被災面積は東北4県で443平方キロメートル、そのうち326平方キロメートル が宮城の被害だ。 ・ 河北新聞に記載しているように「・・・北上川は石巻市で海岸線から直線 距離で約12キロメートル上流まで到達。名取川も河口から約6キロメートル逆流 し、仙台市太白区でも川沿いの土手などで浸水が確認された。・・」という状況 であり、津波被害の甚大さを示している。
  • 5月1日現在 死者8669人、行方不明者6515人との報告があった。
  • 津波の高さについて、資料にあるとおり、宮古・田老で37.9m、大船渡綾里、白浜で26.7m、陸前高田で18m、女川港で18.4m、石巻・雄勝で15.5m、南三 陸・志津川で15.9m と、10m以上の大津波が沿岸部を襲った。

(4月28日の対策本部会議の資料より)

  • 余震が続き、4月の余震で災害が相次いでいる状況だ。
  • 現在427施設に39498人の人々が避難している。ピーク時(3月14日)は 35 市町村すべてに避難所を設置していた。その数は1183施設、320885人に上った。
  • 津波被害のみならず内陸部も震度6、7ということで被害は大きかった。
  • 今だ、ライフラインは復旧しておらず、被害総額は農林水産関係、経済・ 商工・観光関係、土木関係等の被害が多く今後もさらに増えていくと思われる。 被害総額は約2,2兆円と積算されている。
  • また、福島第一原子力発電所事故に関する相談窓口の件数については4月27 日現在、3564件(県内3252件、県外312件)とのことであり、モニタリング結果 については、県南東部、県南西部方面、仙台市に分けて測定しているが、最大値 を示している丸森町役場付近の測定値が10日間継続しても屋内退避の基準の約 170分の1という低い値を示している。との説明があった。
  • 更に、宮城県企業局の水道水の放射能測定結果についても、南部山浄水場、 麓山浄水場、中峰浄水場にて不検出であり、放射線セシウムについても同様の浄 水場にて不検出との結果が示されており安心して飲むことができるとの説明が あった。
  • 保健福祉関係の対応については高齢者福祉施設等の入所者のうち242 人が亡くなり、行方不明者は105人。福祉施設等の被害額は270億円程で、継続調 査中とのことである。
  • 今、一番急がなければならないことは仮設住宅への対応である。約 38000人の避難者がおり、4月28日現在で1312戸が完成し引き渡しが予定されてい る。累計で9004戸が着工済み、8月末までに3万戸を用意し、9月末までの入居 予定を目途に取り組むとのこと。
2、関西広域連合 広域防災局 訓練課長の説明 関西広域連合 広域防災局訓練課長の田中郁雄警察本部出向警視より以下の説 明があった。
  • 兵庫県から被災地への人的支援として、石巻市に30名、南三陸町に31名、 気仙沼市に23名、県庁に4名 合計88名が入っている。
  • 鳥取、徳島、兵庫の3件が宮城県への行政支援を行っている。
  • 情報収集や医療的ケアのほか、きめ細かいニーズまで対応していくため連 携を密にしている。
  • その他、仕事支援として緊急雇用創出事業を活用し1000名の雇用創出に取 り組んでいる。
  • 住宅支援については、無償提供していただける人の登録制度の設置や仮設 住宅建設にあたっては、高床式の仮設住宅(配管部分について地下埋設のいらな い工夫)を提案している。
  • 避難所運営については避難者の不安をできるだけ解消するため、将来展望 も踏まえた対応をアドバイスしている。
  • 避難者は高齢化しており、栄養面での偏りがなきよう災害救助法の見直し 等も視野に入れていただくよう提案している。との説明があった。

◆ 質疑応答

(質問)

改めて、東日本大震災の被災者に心よりお見舞いを申し上げる。宮城県庁に到着 するまでの間、名取市など沿岸部の被災状況を視察し津波による被害の甚大さを 身にしみて感じた。これらの計り知れない高さの津波に対し、今後のハード、ソ フト両面にわたっての対策について見解を伺う。更に、災害等で一番被害を受け るのが障害のある人であり、高齢者、子ども、女性であると考えるが、これら災 害弱者への平素からの災害対策等について伺いたい。

(回答)

現在、宮城県震災復興基本方針(素案)を策定中であり、12月ごろまでには復興 計画案を示していけるように取り組んでいる。復興基本方針案には下記項目を掲 げている。

  • 県民一人一人が復興の主体となる
  • 単なる「復旧」ではなく「再構築」を図っていく
  • 農林水産業、商工業、製造業のあり方や公共施設、防災施設の整備・配置 など様々な面から抜本的に「再構築」する。
  • 人口減少、少子高齢化、環境保全、自然との共生、安全安心な地域社会づ くりなど現代社会を取り巻く諸課題に対応した先進的な地域づくりをめざす。
  • 災害から10年後の平成32年度には復興モデルを構築する。
  • 計画期間 32年度までの10年間(復旧期3年、再生期4年、発展期3年) ハード面の整備が必要だが、例えばスーパー堤防を整備したとしてもそれをはる かに超えるような津波が発生した場合、対応するのには限度がある。また、漁港 や観光への配慮も必要だ。基本としては、「地震が起きたら高台に逃げる」と 言ってきたが、今回はその逃げる時間さえなかった。」沿岸部に丈夫な大きな鉄 塔を造るという提案も出ている。

(質問)

ライフラインの復旧状況について伺いたい。水道施設、浄水場、配水池等の状況 はどうなっているのか。

(回答)

名取市、亘里、岩沼市、山元町等被災地は水道も、電気、ガス同様に復旧は困難 な状況だ。

(質問)

兵庫県の派遣職員の88名の主な仕事内容を伺いたい。

(回答)

関西広域連合をはじめ13県が被災地への支援にあたっている。毎日、13県の代表 で対策会議(調整会議)を開いている。避難所での物資の仕分け、医療的業務の 手伝い、罹災証明の発行などにも協力している。また、被災者の心のケアや道路 の整備についても他県からの技術的援助を行っている。とくに、建物の全半壊の 査定について専門家派遣などもお願いしている。そのほか、避難所での各種ボラ ンティア活動を行って頂いている。

(質問)

今後、兵庫県としてどのようなサポートができるのか、政府の対応も仮設住宅建 設や義援金配分など後手に回り、被災者はいらだちを感じているのではないかと 思う。なぜ、進まないのか伺いたい。

(回答)

今回の大震災は地震により建物が壊れることだけではなく、津波に流されて、 戻ってきて山の上の方でご遺体が発見されるなど行方不明者の捜索活動に困難を きたしている。今尚瓦礫の下にご遺体が存在する以上、機械で瓦礫を撤去するこ とはできない。瓦礫も35年分の量と想定されている。手作業で確認していくしか ない。それで時間もかかる。義援金の配分についても行方不明の方々が今尚一万 人ほどおられる中で、捜査中なのでご遺体を乱暴に扱うことはできない。死亡届 のあった人と行方不明の人との整合性も図ることが必要で苦慮している。罹災証 明発行についても役場事態が被災し住民基本台帳も流されているところもあり思 うように捗らない。一生懸命やっているがコンピューターシステムが整い次第進 めていきたい。(以上宮城県現地災害対策本部事務局説明及び質疑応答)

◆被災地 亘理郡山元町へ

宮城県庁を後に、宮城県南東部山元町の被災現場に急行。再び沿岸部を走行し、 瓦礫による災害現況が視界に入り見渡す限り沿岸部全域における津波被害を確認 した。 JR山下駅付近に到着、下車し、辺り一面を視察した。鉄道駅舎等の崩壊状況を視 察し、その後、引き続き南東に向かいJR阪元駅にたどりついた。先ほどの山下駅 につながっている坂元駅の被災状況はさらに甚大で線路さえない状態であった。 当然、駅舎やホームとホームを結ぶ連絡橋も大きく傾き、阪元駅周辺の被害の甚 大さに言葉を失うほどであった。駅周辺の商店街も波にのまれその残骸さえ見当 たらないほど削り去られていた。現場付近において被災者等が遺品等を確認する 姿も痛々しく声すら掛けることができなかったが、逆に被災者の方から「どこか ら来られたんのですか」と声をかけてくださった。「神戸からです。私たちも阪神大震災を経験し、人ごとに思えないので、 少しでもお役に立ちたいと思って参りました。防災対策を進めるために現場を直 に見せて頂きました。」と早口で申し上ますと、被災者から「私の家は、山の近 くで家は流されませんでしたが床まで浸水しました。親戚の者が亡くなりまし た。」また、心配して息子が帰って来ましたので被災現場を見ようとここへ来ま した。」「地震が発生して、30分くらいに黒い波が押し寄せて来ました。まさか 山の前方にある道路までは来ないと思っていましたが、それを超えて山の近くま で押し寄せて来ました。それで私たちは山の高台に向かいました。」と当時の様 子を語って下さいました。また、息子さんも「この坂元駅から通っていましたの でこんなになって残念です。」と言われました。

(5月2日視察報告)

◆石巻支援本部へ(石巻市役所内)

午前9時頃仙台より石巻市役所に出発。渋滞等のため2時間半ほどかかり石巻市役 所に到着。途中、石巻市役所周辺の商店街の被災状況等が車窓から見え、住宅等 の建物が壊れ、電柱が傾斜し、各家からは畳やタンスなどの家財度具が玄関前に 積み上げられていた。 床上浸水の被害に見舞われた家や商店が続いていた。 1、 安井幹雄兵庫県淡路県民局総務室長兼防災課長の説明 ・ 被害状況について、4月27日現在、石巻市死者4316人、行方不明2770人、東 松島市死者1019人、行方不明740人、女川町死者446人行方不明762人、合計2市1 町で死者4316人、行方不明4272人 ・ 避難所 石巻市 117か所 11364人、東松島市54か所 3363人、女川町  16か所 1903人 ・ ライフラインの復旧状況 水道80.3%復旧、下水道機能停止中、電気停電 戸数 2175戸、ガス30,3%復旧 ・ 仮設住宅 予定戸数1826戸に対し、第1次137戸完成、今後2次、3次、4次 と建設予定で6月上旬には完成する見込み。 ・ 関西広域連合の取り組み 3月23日の第1次派遣より第6次派遣まで終了して おりこの期間に200人弱の職員派遣及び2400人ほどの各部門への人員派遣を行っ た。石巻市、気仙沼市、南三陸町に分かれ情報収集、保健、医療福祉相談をはじ め罹災証明発行や避難所運営の手伝い等を行ってきた。

◆石巻市被災状況視察 (南浜地区、門脇地区) 

高台にある日和山公園より、北上川河口、周辺の街の様子を視察した。津波と津 波による火災等で辺り一面のまちが瓦礫と化していた。遠くに被災した石巻市立 病院の建物が残っているのが確認できた。その後、被災現場付近まで行き門脇地 区、南浜地区の生々しい被災状況を確認した。一部焼失した門脇小学校をはじ め、周辺の家々は無残にも破壊され、辺り一面からは火災による焼け焦がれた匂 いが漂っていた。その後、南浜地区一帯の被災状況等を車窓から視察したが、そ のうち日本製紙石巻工場の被災状況は特に酷く、商工業、製造業への被害総額も 莫大に及ぶだろうと改めて津波被害の甚大さ、自然の脅威に愕然とするばかり だった。

◆感想

  • 短期間の視察ではあったが、宮城県名取市、石巻市、山元町等の被災状況 を直に確認視察し、また、被災地の人々から生の地震、津波等の実体験を聞かせ ていただくことにより、地震津波の怖さ、被害の甚大さを少なからず承知するこ とができた。阪神大震災とは災害の状況が全く異なり、東日本大震災は津波によ る被害がほとんどであることがわかった。東北地方の建物は比較的頑丈にできて いることも確認できた。
  • 「地震が発生し30分後位に津波がきた」と言われているが、生死を分ける ことになった沿岸地域での地震発生直後の安全地帯への避難、災害弱者への救 援、救助体制、あるいは漁業関係者をはじめ企業や商工業者等への避難及び救助 マニュアル等の徹底などについても平素からの訓練や研修等が急務であると感じた。
  • 沿岸部にスーパー堤防を整備しても今回のような津波にはとても対応しきれ ない。漁業や観光等の各種産業へも配慮しつつ、安全で安心なまちの再構築には 物理的な整備の限界を視野に入れつつ、それを補完するソフト面での体制整備が 求められる。
  • 人口減少、少子超高齢化という複雑な課題を抱える我が国にとって、今回の 東日本大震災は今後のこれら重要課題解決に向けて人類の英知を結集し、災害に 強いまちづくりの構築に向けて総合対策を図るとともにまさに、自助、共助、公 助による防災対策を実行ならしめるよう取り組んでいかなければならないと痛感 した。
  • 昨年12月に関西広域連合が発足し、提携市とともに被災地へ入り、救援活動 に取り組んでこられ派遣職員の皆様に改めて敬意を表するものである。被災地の 人々へ寄り添い、まちの復旧、再構築へ向けての取り組みは今後長期間を要する と思われるが、大震災を契機に我が国における支え合う仕組み、体制を整備する ことが望ましいと感じた。今後、広域的な行政の取り組みは防災のみならず、産 業経済、教育づくり、環境自然エネルギー等の開発など様々な分野での連携が重 要視されると感じた。